移民と対米感情

ってなんか、久しぶりにマジメな話題。

ちょっと前に凄くいい映画を観たんです。その名も、『君のためなら千回でも』(英名: The Kite Runner)。アフガニスタン出身の小説家、カーレド・ホッセイニの同名小説の映画化です。ひと言で言って、大泣きする傑作だったけど、アフガニスタンの近代歴史やアフガン人について興味無いと、ただ単に戦争が生む不運と悲劇の映画で終わってしまうかもしれませんね。アメリカにいるといろんな移民が周りに住んでるわけで、国を追われて移民してきた人達の話もよく耳にするのも多々。だから、このストーリーは、ただ単に悲しいストーリーじゃなくって、アメリカに生きる移民達、特に祖国を捨てなくてはいけなかった移民達の過去というものを感じずには入られない一作じゃないかなって。劇中に出てくる、主人公の父親がガソリンスタンドで働く一場面をすごくリアルに感じたんだけど、きっとそれはアメリカ在住者にしか見えないリアルさなのかも。

話は少し変わって、この映画を観た後、ある友人の話を聞く機会がありました。彼はアドミン君の恩師であって、ギター奏者。かつては、NYのライブハウスで弾いてた人だけど、今は引退し普通にサラリーマンをしてる人。で、ちょっと前夏休みを利用しクリーブランドまでツーリングしながら遊びに来てたんです。その彼、実はドミニカ共和国から難民としてやってきて、数年前に米国籍を取った人。その上、かなりの愛国者で反共産主義、反イスラム、そして共和党支持者でした。そう、お山の大将君を熱く支持してるわけ。それはそれで、彼の選択であるから私もリスペクトしてますよ。

でもね、興味深いなって。私のように同じ移民ステイタス(厳密には永住者だけど)であっても、反米になるわけでもなく熱心な愛国主義にもならない移民もいれば、彼のように熱狂的な愛国者になる移民もいる。はたまた反米になってしまう移民もいたり。いや、じつは私が知る移民達は反米家がほとんどだったかも。

っていうのも、昔アイオワに住んでた頃、ソマリア人の家族と友達でした。彼らは、かなりマジメなイスラム教徒。シーア派かスンニ派かなんて、英語も不慣れな当時の自分は興味されなく聞き逃したけど、とにっかく反キリスト教だったのは確か。そして、反米感情をかなりあらわにしてたっけ。ナイキやアメリカ製品を愛用し、しかもアメリカで教育を受けながらも、反米を語る彼らの矛盾さがどうも理解できなかったのを覚えてます。ここで気をつけて欲しいんですが、ソマリア人皆がそうであるとは言ってません。その辺誤解ないようお願いしますね。

愛国主義の友人、私が知るソマリア人の家族。共通する点は、国を追われてやってきた難民ということ。そして、祖国は政治・社会的に不安定であり、貧富の差が激しい、いわゆる発展途上国と言われる国。でも、裕福な家庭に育ったという背景もある。それと反対に、私は貧富の差が激しくない、それなりに裕福で平和な日本に生まれ育ち、自分の意思でこの国に来たわけで彼らとはバックグラウンドがかなり違いますね。

とにもかくにも、同じ移民であってもそれぞれが全く違う環境で育ち経験をしてるわけで皆様々。そして、過去の経験と新境地での経験から、おのおのが全く違うアメリカ像を持って生きてるんだなって。なんか、そんな風にしみじみ思ったわけです。

今メディアは、米大統領選に向けた民主党大会(25日開幕)の話題ばっかり。
大統領選まであと2ヶ月ちょい。早いなぁ。