十数年の時を超えて

実はワタクシ、十数年前まで写真家のアシスタントをしておりました。大学時代にたまたま取った必修科目が写真のクラスでしてね。やってるうちにのめり込んでしまい、めっちゃ楽しい!写真家とかもええんちゃう?みたいな、吐かない夢なんかもったりした可愛い時期でもありました。

そんでもって、当時写真のクラスを教えてた教授が日系アメリカ人の方でしてね。さっそく「写真」と「日本人」繋がりで意気投合して、卒業後の就職難に出くわした迷い犬だったワタクシをアシスタントとして雇ってくれたのでした。

正直とりわけやりたい!てな仕事じゃなかったけど、仕事無いし、写真好きだし、一応デザイン系ソフトウェアスキルあるしってことで、3年くらいやってました。いわゆる彼女に拾われたようなものです。

その仕事をしながら、同時にウェブデザインにも目覚めはじめ、初めて仕事で作ったウェブサイトもこの方の個人ウェブサイトでした。

そして本格的にウェブデザインにハマりだし、少しずつアシスタント業を減らしはじめた2006年8月。私を可愛がってくれた師匠は、突然他界してしまったのです。

その師匠こと、マスミ・ハヤシ先生。クリーブランドに長く在住してる方なら、もしかしたら聞き覚えがあるかもしれません。クレイジーな隣人に銃殺されてしまった事件を覚えていらっしゃるでしょうか?ちなみに、事件の詳細はウィキペディアに掲載されてますので、ご参考にどうぞ。

とにかく、今でもあの時の悲劇は忘れません。あの後ずーっと頭から離れませんでしたもの。そう、当時マスミ先生は、殺害される2日前に隣人の騒音問題を吐露しておりました。「そんなに大変なら、少しお友達のところに身を寄せるのも良いのでは?」なんて、生意気にもアドバイスした私。それが最後の会話だったなんてね。。。

そして月日が流れ11年。
実はこの週末、彼女の作品を集めた写真集が完成し、その祝賀会に招待されたのです。アート業界からずいぶん離れている自分が招待された事に、なんとなく申し訳ない思いがあったけど、その輪に入れてもらえた事にすごく感慨深いものがありました。

先生の家族や友人たちは、彼女が亡くなって初めて知り合った人たち。不真面目にアシスタント業をしてた自分は、当時かなり恥ずかしかったんですが、彼らは暖かく迎えてくれたのを今でも覚えてます。

実際この週末に11年ぶりに再会した皆さんも、同じように暖かく迎えてくれました。緊張でガチガチだった自分も後半には、なんとなく力が抜けていたりしてね。

今マスミ先生の写真集を手にして、なんとも不思議な気持でいます。彼女の晩年の作品のいくつかは、自分も少し携わっており、なんとも言えない思いが湧き上がって来たんですね。彼女との思い出とか、こんな思い、あんな思いで、作品を一緒に作ったよな~みたいな。

彼女の代表作に日系アメリカ人強制収容所シリーズがあるのですが、当時の自分は作品のメッセージ性とか、どんな思いで彼女が作ったのか、なんて考える余地は全くありませんでした。アメリカに20年近く住んで家族を持って落ち付いた今だからこそ、日系アメリカ人が辿った歴史に興味を持ち始めてるわけで、先生にもっといろいろ話しを聞いておけば良かったな~と、ただただ今は後悔しております。

移民の国アメリカが、今また変わろうとしてるこのご時勢、もし彼女がまだ生きていたのなら、どんな思いでこの国を見つめていただろうか?

そんな風に思いながら、彼女の作品集を見入ってしました。

建物・機械好きの息子が、先生の「Superfund sites(環境汚染指定地)シリーズ」やクリーブランド名所が含まれてる「Citiesシリーズ」の作品を見てこんなことを言ってました。

I love these photos! So cool!!! (僕この写真大好き!すごくかっこいい!)

なんだか涙腺が弱くなってしまったのは言うまでもありません。

ああ、十年も過ぎたんだな~と、しみじみ思った週末でした。

4 thoughts on “十数年の時を超えて

    • えっちゃん on

      いや~、ちょいとオセンチやったね~。
      秋の氷雨はオセンチにさせるわん(笑)

  1. 偶然私も先日Masumiさんのことを考えていたところ。もうそんなに時間がたったんですね。日系アメリカ人強制収容所シリーズは、17〜18年前だったかにCleveland HtsのライブラリーでMasumiさんのトークとともに観たのですが、その思い出を語るMasumiさんの声のトーンが本当に穏やかで優しく、そのコントラストが衝撃的だったのを思い出します。

    • えっちゃん on

      わー、すごい偶然!
      ホントに時間が経つのって早いですよね~。
      そっか~、講演けっこうやってたんですね。そしてそれを見に行ってたというのもなんか凄い縁かも!
      作品と作者のコントラストとは、うまい表現ですね~。
      うん、すごく納得ですわ~。

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