『ニューヨーク底辺物語』を読んだ

ニューヨーク底辺物語実は私、あまり本を読む方ではありません。どっちかっていうと昔から漫画派。本も読むとしたら、実用書やエッセイものばかり。どうも小説とかって途中で飽きてしまう口です。もしかしたら、読んでても活字からイメージを思い浮かべるのが苦手なのかもですね。アメリカに来てから、日本書籍から更に遠ざかってしまい、その悪い癖(?)は悪化する一方です。でもそんな中、この本と出会いました。

実はこの本、ネット上で知って以来ずっと気になってた一冊。著者である境セイキさんは、本を出版されて以来ブログを書いていらっしゃり、本の代わりにずっとそちらを購読させてもらってました。独特な観察力と洞察力、そして「詩」とも思わせる文章は、なかなか面白い!普通の日本人が見えない(もしくは、見たくない?)部分をよく見ていらっしゃるので、そんな見方にどんどん引き込まれて行きました。そしてブログ上で交流が進むうち、やっとこの本をゲットしたのでした。

境セイキさんは、元ホームレスです。題名どおり、ニューヨークの底辺で6年間暮らしていらっしゃいました。そこで出会った人々、見た街の風景、肌で感じた事などが綴られた内容です。本のネタばれのなるので、あまり多くをここでは書きませんが、アメリカのホームレスたちの実状、そして彼らを取り巻く環境と行政の仕組みがよく分かる本です。

ホームレスでもアタタカイ・ハートを持っている奴、イイ顔をしている奴はいっぱいいる。何故か?僕の結論は、彼等は社会的にはホームレスではあるが、ハートはホームレスではないのだ。人生のホームレスではないのだ。ある意味では”社会的(肉体的)な家”を持つ人々よりも幸せであるかもしれない。心のシェルターを持っているのだから。― 本書『ニューヨーク底辺物語』186ページより

この言葉に私、ざっくりと心をえぐられました。それは良い意味で。急速に進むデジタル社会に生きる現代人は、果たして「心のシェルター」を持ってるのだろうか?そう、ふとと思ったんですね。特に日本は、自殺率が増えているという社会問題を抱えてます。恵まれた国なのに、「心のホームレス」が多いからなのでは?と考えさせられたんですね。家や社会、そして地位やお金に縛られて、デジタル社会が進むにつれ、更に希薄になりがちな人間関係のなかで、「心のホームレス」が増えないわけがないなって。

「幸せ」って、ひと言では定義できない事ではあるし、価値観は人それぞれではあるけれど、「幸せ」な人は確かに「心のホームレス」にはなりませんね。本書中印象深かった、ヒスパニック系のタクシーの運転手。少ない稼ぎからセイキさんに20ドル恵んでくれた人です。まさにこれ、アメリカなんですよね。ブルーカラー層で金銭的には余裕の無いはずなのに、心だけは温かい人に出会える。それがこの国です。

また、アメリカの慈善団体の現状やホームレスに対する行政事情も興味深かったです。この本を読んだ後、映画『犬と猫と人間と』の監督飯田基晴さんの作品『あしがらさん』を観たので尚更そう思いました。ちなみに『あしがらさん』は新宿で路上生活をするホームレスをドキュメントした作品です。この作品については、また後日ここで紹介して行こうと思います。

とにかく、この手のテーマが好きなもので、ずいぶん長々と書いてしまいましたが、もしこの本に興味ありましたら直接著者に連絡してみてくださいね。本には載ってない話も聞けるかもですよ!

6 thoughts on “『ニューヨーク底辺物語』を読んだ

  1. Junko H. on

    とっても興味深いブログを紹介してくれてありがとう!
    早速色々と記事を読んできました。なるほどねぇ…そうだよねぇ…と思うこと、たくさん。

    幸せの定義って難しい。結局は「自分が決める」ってことなんだと思うけど、
    それを決める価値観も時代の影響をたくさん受けているような。
    Winner takes allを肌で感じるアメリカで生活しているからでしょうか。
    最近ちょうどそんなことをしみじみと思っていたところだったよ。

    • endunham on

      おおお!こちらこそ、長文読んでくれてサンキュ!
      楽しんでもらえる内容でよかったわん 😉

      幸せの定義って難しい。結局は「自分が決める」ってことなんだと思うけど、それを決める価値観も時代の影響をたくさん受けているような。

      そうだね。それは、かなりあるよねー。昔はある意味、とってもシンプルだったからね。人も街もみんなさ。デジタル社会って、全て合理的で潤滑的に物事が進む目的で生まれたようなもんだけど、逆に人間の頭を複雑にしてるかもって思ったりするわ。

      Winner takes allを肌で感じるアメリカで生活しているからでしょうか。

      うん、それはあるかも。でもさ、どこも一緒じゃないかな。とってもプリミティブなレベルから言っても勝者が必ずいるじゃない?例えば、貧困と金持ちの関係とか。

      まあ、その辺は面白いディベートになるテーマかもねー 😉
      今度ゆっくり語るかい?(笑)

      • Junko H. on

        そうだねー。うんうん頷いてコメント読んだよ~。
        是非語りましょう!
        …ちょっと数日前からもやもやしてるので話を聞いて~、かも 笑。

        • endunham on

          おおお、そうかい、そうかい。
          いつでも聞いてあげるぜー 😉
          また美味しいもん囲んで語り合おう!
          ファイト―!

  2. どうも。
    一昨日帰ってきました。
    普通の日本人に見えているものが見えない境セイキです。

    日本でのイベントも、ぼくが考えていた以上に好意的に迎えられ一安心といったところです。
    ひとえに企画をしてくれた友人たちのおかげです。
    その中でも話題になったことが日本人の自殺数。
    ぼくは自殺なんかあの当時でも考えたことがなかったので、日本での数については以前から知っていたのですがやはりワカラナイ。
    自殺より、明日生きるということばかり考えていました。
    今日を生きれば明日がある。
    明日を生きればその明日がある。
    そうやって人々はこれまでも生きてきたはずです。
    死ぬより生きる方が楽だし、楽しい。
    だから生きましょう!

    それしても日本のスーパー、魅力テンコ盛りでした。

    • endunham on

      せいきさん、お帰りなさーい 😛
      イベントうまく行ってよかったですね!

      自殺より、明日生きるということばかり考えていました。
      明日を生きればその明日がある。
      そうやって人々はこれまでも生きてきたはずです。

      発展途上国では、自殺者が少ないのはそれでしょうね。
      地震で災害が起きたハイチやチリだって、生きたいという方が先で明日を生きるために必死。自殺どころじゃないはずですものね。
      裕福な国でこそ、明日が当然やってくると考えてるからなのか…
      とにかく「生きましょう!」、それに尽きますね。

      それしても日本のスーパー、魅力テンコ盛りでした。

      あはは、ホントですね。
      日本のスーパーは世界一です!